最後のおせっかい

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「おーい、たちばなー、橘!」 眼の前で手の平をちらつかされて驚いた。 「わっ!あ、先輩っ」  「何読んでんの?」 そういって、漫画を覗き込まれた。 近い、近いっ。横顔もめっちゃ綺麗。 じゃなくて……!! 「あー、これか。俺も気になってる」  突っ込みそうになる前に先輩は離れて向かいの席に座った。隣の椅子にバックを置き、タブレットを開いて何を食べようか考えている。 「面白い?」 「面白いです。でもこれ借りてるから貸せません。」 「そうなのか。んー、疲れたからガッツリいくかな。橘は?」 「私は、食べてきちゃいました。ドリンクバーだけです」 「そっか」  唐揚げ定食を注文していた。 「橘によく漫画借りたよな」 「あー、そうでしたね」  私は三兄弟の真ん中だけど、男に挟まれてて、少年漫画が沢山家にあった。だから、先輩が気になる漫画を貸してあげていた。先輩は漫画とかあんまり読んで育ってなかったから、大学受験終わってから紙袋持参で貸しまくっていたっけ。自転車通学で良かったと心底思ったっけ。  だから、大学あがって割と気になった漫画は買ってるらしい。
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