私はヘタレに恋してる

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一年後。 私も看護大学に行くため上京した。  先輩とはラインでたまにやり取りしていたから、報告を入れた。上京してすぐに歓迎会を開いてくれて、先輩との交流が再開。また先輩の恋愛相談相手になっている。 ____なぜか、毎回毎回、相談されてる。  一方私は、恋愛経験値は0なのだけど……。  そして今、また先輩は私の前で落ち込んでいる。 振られた次の日は、必ずこの大衆居酒屋でやけ酒に付き合ってあげている。  たこわさと、からあげを当てにして、ビール、ハイボール、日本酒とお酒は変わっていく。 「好きだったんだけどなぁ」 「さっきも聞きましたよ」 「つまんないってなんだよ……俺はつまんないか?」  「つまらないかは知りませんけど、ヘタレだとは思ってます」 「ひっでーな」 「ほら先輩、帰りましょう。飲み過ぎです」  私はお会計を済ませて、椅子に座る先輩の腕を自分の方に回し、立ち上がらせた。  夜の繁華街を歩いていく。私の家まで10分くらい。  力はあるから、支えながらでも全然歩ける。お母さん、強い体に産んでくれてありがとう。  学生アパートの一階にある家につくと、玄関にそのまま座らせる。夜風に当たったから少し酔いは冷めているようだった。玄関に座っている先輩にペットボトルのお茶を差し出す。 「橘、お前はほんとに面倒見いいなぁ」 「先輩が毎回酔っ払うから対応に慣れただけですよ」
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