802人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなことない、高校の時から橘は面倒見のいい子だったよ」
そういって笑顔を見せて私の頭をぽんと撫でてきた。
ずるい、毎回。
放っておけなくなるじゃない。
先輩の彼女になる子は、か弱そうな可愛らしい女の子ばかり。そういう子がタイプなのは知ってるし、私は真逆だから絶対見向きもされないのわかってる。
____なのに、また心を掴まれる。
泣きそうになる顔をきっと引き締めて、先輩に問いかけた。
「帰れますか?」
「うん、大丈夫。ありがとな」
「いいですよ、気をつけて、ちゃんと帰ったら連絡してくださいね」
「お前は母親か」
突っ込みながらも、立ち上がって『じゃあな』と玄関からすぐ外に出ていった。
告白する勇気がわかずずるずる2年も同じことの繰り返し。
何やってんだろ………。
私は、じわじわ出てくる涙を拭きながらシャワー室に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!