二人きりの音楽会

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 すぐ相手を見つけたり、すぐ彼女ができたりと、ほんと、どこから湧いてくるのかわからないけど、好みの女の子を見つけてくる。  でも、先輩は真面目で誠実なタイプだから自分が恋愛体質だなんて一ミリも思ってない。 「美律も大概だけどね、もう関係断ったほうが自分のためだよ。まじでただのお世話係じゃん」  そんなことは高校の時からわかってるのよ。  お世話係だし母親ポジなのよ。  でも、それでも隣に入られるならいいかなって思っちゃってるんだもん。  先輩とのやり取りは私には特別だけど、あっちはそうじゃない。本当なら私なんかいらないけど、構ってあげてる風で私が構ってもらってる。 そんなの全部わかってるよ。 「美律ならめちゃくちゃ需要あるよ?今度合コンいこ?」 「考えとく」  私は春雨スープのカップをビニール袋に入れて縛り、ゴミ箱に捨てに行く。葵は後ろからついてきて二人で講義室からでた。  葵は講義があるので別の教室に向かい、私は一コマ空いてるから図書室に向かう。曲道(まがりみち)で足を止めた。 「じゃあ、まじで合コンいこうね」 「はいはい」  流すように返事をし、別れて図書室に足を運んでいく。静かな図書室の勉強スペースで教科書とノートを開いた。  私には‘’チャイルドライフスペシャリスト‘’っていう明確な夢があるから、本来なら恋なんてしたくない。ちゃんと学びに重きをおきたい。  合コン、出会い、そういうの行っても、どうせ先輩と重ねてしまうのが分かってる。だから行かないし、行きたくない。相手にも失礼だし。
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