彼女の引力が僕を導く

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 家に帰り、弁当を食べながら考える。もうそろそろ自分がどうなるか考える必要がある。  それはわかったが、じゃあ何から始めたらいいのだろう?  腕組みをして考えてみたものの、すぐに何かを思いつくものでもない。  それにしても、こんなことを考えているのは、彼女がアナウンススクールに通って、ちゃんと夢を追っていると知ったからだ。  別れてしまってからも彼女から影響を受けているのか、僕は。  苦笑しながら、ふと気づく。無意識に右手はスマホのゲームを立ち上げていた。 『私と話をしながらゲームするのやめてくれないかな?』  ゲームしながら将来を考えられるわけはないな、と僕はスマホをベッドに放り投げる。いまでもこんな言葉を思い出すあたり、彼女の引力は相当に強かったらしい。  しかし、いつまでも彼女の引力に頼って生きてはいられない。彼女と僕の道は違うものになってしまったんだから。次の季節からは自分で動けるようにならないと。  ただ、とりあえずこの夏の終わりは、彼女の引力に頼って、将来の計画を立てるきっかけにしよう、ひとつ頷いてから僕はノートパソコンを開いた。
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