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「……。千夏は友達だよ」
妙な間があったあと、広夢くんはそう言った。
「そうなんだ」
「うん」
ちょっと引っかかるんだけど、友達だって言われた以上、深くは追求できないよね。
私も潤くんとか、一成先輩とか、色々と微妙な関係の人がいるし。フラグ立てたそばから壊しちゃったからなぁ。
なんとなく気まずい沈黙を破ったのは、広夢くんの方だった。
「杏ちゃんに伝えたいことがあったんだ」
「何?」
「明後日の文化祭が終わってから、屋上に来てくれない?」
→分かった。
無理かな。
考えておくね。
私が答えるよりも早く、選択肢が出てくる。
えーっと。一番上かな。
「分かった」
どうやら正解だったみたいで、広夢くんのハートのピンク色部分がぐぐっと上がる。
明後日の金曜日は、文化祭最終日。
『その日に告白して成功したら、ずーっと一緒にいられるってジンクスがあるでしょう?』
柚ちゃんから言われたことを、ふと思い出す。
目の前の広夢くんは、やっぱり少し照れたような、けれど嬉しそうな顔をしている。
もしかして……?
あんまり期待し過ぎも良くないけど、期待しちゃうよね。なんて思いつつ、その日は二人で教室に帰ったんだ。
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