1、どんな選択肢を選んでも、失敗エンドになるゲーム

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「その間、外部との連絡は絶って頂くことになります」 「ええ……」  外部と連絡出来ないの?  なんか……。不安しかないな。 「それを一年、ですか」 「一年と言いましたが、ハッピーエンドを迎えたら、その時点で終了して頂いて構いません」 「そうなんですか?」 「はい。現在はバッドエンドしか迎えられない仕様になっているため、ハッピーエンドへの道を模索して頂きたいのです」 「なるほど」  ん? それって、デバッグとはちょっと違うよね。不思議に思って首を傾げる。    だけど、三木さんがどんどん言葉を続けるので、私が口を挟む隙はなかった。 「あらかじめお伝えさせて頂きましたように、完了後は報酬と共に新しいお仕事を斡旋させて頂きます」  ものすごく怪しいけど、お給料ももらえるし、新しいお仕事も紹介してもらえる。  騙されてたとしても、どうせ無職。貯金もほとんどないし、彼氏もいないし、おまけに無能でコミュニケーション能力皆無のダメ女。失うものなんかないんだ。 「分か、りました。では、ぜひやらせて頂きたいです」  迷った末に、そう告げる。そうしたら、三木さんは身を乗り出して私の両手を握った。 「本当ですか! ありがとうございます、花井さん!」 「あはは……」    やんわりと手を離そうとしたけど、がっちりと握られていて外せない。無職の私の採用をこんなに喜んでくれるなんて、どれだけ困ってたんだろう。 「それでは、早速明日からお願いいたします」 「明日からですか?」 「本日からお願いしたいところですが、ご家族の方への説明やご準備もあるでしょうから」  急すぎるって意味で言ったんだけどな。  こっちが引き気味で話しても、強引に話を進めてくる三木さん。そんな彼と話していると、もう逃げられないことを実感する。  うう……。ちょっと怖いけど、いつまでも無職でいるわけにもいかないよね。  どうか無事にハッピーエンドを迎えて、まともな社会人になれますように。
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