2、バッドエンドしかない乙女ゲーム、攻略開始

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2、バッドエンドしかない乙女ゲーム、攻略開始

「杏〜、いつまで寝てるの? 早く起きないと、学校に遅れるわよ」  気持ち良く寝てたのに、お母さんの大声で目が覚める。  学校? 高校も大学もとっくに卒業したはずなのに、お母さん何言ってるんだろ。 「杏! いい加減に起きなさい。始業式から遅刻なんてダメよ」  何を言ってるのか全く分からないけど、部屋の外からしつこく名前を呼ばれ、しぶしぶ身体を起こす。  机の上に置いてあったスマホをチェックすると、「四月六日 七時半」と表示されていた。  四月六日……? だったかな?  引きこもりニート期間が長いせいか、時間や曜日の感覚が鈍くなってるんだよね。  日付やお母さんの発言に違和感を覚えながらも、ベッドからおりる。そのとき、何気なく見た鏡にうつった自分の姿に驚き、二度見してしまう。 「ん? ……え!?」  見覚えのないピンク色のチェックのパジャマ。  胸の辺りまであるピンクブラウンの髪は昨日までバサバサだったはずなのに、艶々になっている。可もなく不可もない、何の特徴もない顔立ちはそのままだけど、だいぶ幼く見える。 「え、え? 何で?」  顔を触ってみたら、明らかに昨日までとは弾力が違う。まるで十代の時みたいな触り心地。  何でこんなことに……? 夢?  そもそも昨日は荷物をまとめて会社に行って、それから三木さんと話して……。  あれ? 昨日っていつ寝た?  三木さんと話して、ゲーム機を渡された後の記憶がない。
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