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わけがわからないまま、一階に降りていく。
キッチンに立っているお母さんの後ろ姿に「おはよう」と声をかける。すると、お母さんがくるりと振り向いた。
「やっと起きたのね。あら、まだパジャマなの? 早く制服に着替えないと、朝ごはん食べる時間なくなるよ」
そう言ったお母さんは明らかに昨日までよりも若返っていて、私は言葉を失ってしまう。お母さんまで……。
どうなってるの?
しばらく呆然と突っ立っていたと思う。そんな私に、お母さんは訝しげな視線を向けてきた。
「いつまで寝ぼけてるの。早く支度しなさい」
「う、うん……」
どうなってるのか聞きたかったのに。お母さんがあまりに急かしてくるので、聞けなかった。
促されるままに朝ごはんを食べ、顔を洗い、二階のクローゼットにかけてあった制服に着替える。
白いフリルのついた紺色のスカートを履き、白のYシャツを着て、赤いリボンを結ぶ。最後に、紺色のブレザーを羽織った。
この制服って、私がつい最近やってた乙女ゲームの学園のものだよね。そうなると、……。
制服を着て考え込んでいたら、また下から「杏〜!」とお母さんに大きな声で呼ばれ、家から追い出されてしまった。
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