1、どんな選択肢を選んでも、失敗エンドになるゲーム

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 二十七才にもなって、親に八つ当たりとか。  情けないにもほどがある。  ベッドの上でゴロゴロしながらSNSを眺めていると、キラキラした報告ばかりで余計に気分が重くなった。 『元気な女の子が生まれました』 『退職して、ずっと夢だったネイリストになりました』  大学を卒業して四年。  数少ない友達や、友達と呼べるか分からない同級生たちは、みんな自分の足でちゃんと立って歩いてる。  結婚して子どもを生んだり、仕事で昇進したり、転職して夢を叶えたり。  一方私は、職ナシ。彼氏ナシ、子ナシ。  親に迷惑をかけるだけの厄介者。  完全に詰んでるよね。  ゲームみたいに、もう一回人生をやり直せたらな……。  気晴らしにゲームをやってみても、また「俺は好きじゃない」とフラれてしまった。本当に情けないよね、ゲームにまで見捨てられるなんて。  何もかも上手くいかない。  自分の不甲斐なさに嫌気が差すのと同時に、だんだんムカついてきた。何で楽しむためのゲームでまで、ストレス溜めなきゃいけないの?  苛立ちに任せ、ゲームを購入した通販サイトで低評価をつけた。 『☆1 バッドエンドしかありません。お金を返してほしい』  それだけでは腹の虫がおさまらず、お気持ち表明メールをしたためる。  乙女ゲームなのにバッドエンドしかないのなら事前に告知してほしかったこと、もしもバグでハッピーエンドにならないのなら何らかの対応をしてほしいこと、無職でゲームソフトを買うのは厳しい出費だったこと。  後半は、どう考えても私の自業自得なような気もするけども。イライラして書き殴ったものを見直しもしないで、ゲーム会社に送りつけた。
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