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「三号室はしばらく空いたままでいいって、さっき言ったでしょ」
「うん。あたしはそれでいいと思うよ」
「そうなんだけど、私みたいにさ、ここに来られて本当によかったって思う人もいるのかなって思うと、なんかすごく自分がわがままみたいに思えちゃって……」
「あー……」
「今はそのチャンスが一つ残ってるわけじゃない。もちろん誰もがこの家に馴染むわけじゃないだろうけど、私がご新規さんを拒むのはちょっと違うかなって」
「んー、莉亜はやっぱりまじめだね。そして優しい」
「えー? そんなことないよ」
「莉亜の言うことはわかるよ。あたしにとっても、莉亜が来てくれたことは本当に幸運っていうか、待ちに待った人だったわけだから、その可能性をつぶしちゃうのはどうなのって、思わなくもない」
「でしょ? 次に来る人が私よりもはるかに素敵な人の可能性だってあるし」
「もしかして、それで不安になってないよね? あたしがその人に夢中になるんじゃないかって」
「いや、さすがにそこまでネガティブじゃないつもりだよ?」
「莉亜みたいな人が来たら確かに嬉しいけど、あたしが莉亜を裏切ることはないよ。織姫と彦星に誓う」
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