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「カナン、ちょっとリビングに行かない? 私、のどが渇いちゃった」
「いいよ。あたしも何か飲みたい」
カナンはお酒を飲みたがるのかな。
今は全然そんな気分じゃないけど、カナンも同じだといいな。
「あ、そうだ。今日はこのまま一緒に寝ようよ」
立ち上がってカナンの部屋から出ようとしたところで、カナンがこう言った。
とてもいい笑顔だった。
「ごめん、できれば自分の部屋で寝たいかな」
「えー、なんで?」
そんな悲しそうな顔しないでよ。
私の弱い意志は簡単に折れそうになったけど、理由を話せばわかってくれるかもしれない。
「今日は、特別な夜だから」
「どういうこと? 特別なんだから、たまには一緒に寝ようよ」
「ううん。ただの特別じゃなくて、今日は七夕でしょ」
私はわざともったいぶった言い方をする。
カナンはきっとわからないだろう。
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