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「え、芽衣は今の話、笑うところあった?」
「いや、面白いところしかないじゃん!」
「はー、好きだなあ、麻海のそういうところ」
酔っ払った千里はそういって、少し虚ろな目をして私の顔をじっと見つめてきた。私が困った顔になるのを察して加賀くんが止めに入る。
「千里、もうやめとけ。弱いんだから。ほら水のめ」
「はいはい」
まだ酔が完全に回っているわけではないらしい。素直に水をごくごく飲んでいた。
加賀くんがほぼ強制的に千里からお酒を取り上げて、水の入ったカラフェを目の前においていた。本当によく来てて相手のことわかってることが伝わる対応。凄い。
他はないのかと言われて、思い出した話を2つくらいすると、それもまた笑われた。千里が一番笑ってる。
「黒板にバファリン工場爆発、半径3Kmに優しさがとぶって誰が書いたんだよ、それ」
お腹を抱えながらつっこまれても、私は見ただけなので答えられない。
「知らないよ。でも、見たときになるほどなぁ、そうなんだなぁって関心したの」
「二階堂さんさ、それの何に関心した」
必死に笑いをこらえながら加賀くんがそう聞いてきた。
「バファリンの半分は優しさで出来てるから、工場が爆発したら、それくらい飛ぶのかもなぁって」
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