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そろそろお暇をすることになったから、片付けをする。
シンクで洗い物をしようとすると、テーブルを片付けていた加賀くんが私にグラスを渡そうとしてくれた。そこで少し固まると、加賀くんは不思議そうに私の顔を伺ってきた。
千里がそれに気づいて、加賀くんが差し出したグラスを横から受け取って、シンクにおいていた。
「食洗機あるから軽く流すくらいでいいぞ」
「うん、わかった」
一通り片付けが済むと、加賀くんと芽衣は荷物をすべて持ち、玄関で靴を履いていた。
「千里、今日はありがとう。二階堂さんて、高校時代高嶺の華だったけど、なんか普通に話したら普通の人だね。楽しかったよ」
加賀くんは私に向かってニコッと笑いかけてきた。
「大ちゃん語彙力失ってるよ!今日はありがとう。麻海はもう少し残るの?」
「うん、少しだけね」
「そっか、写真撮影とプレゼントありがとう。槇くんも、プレゼントと素敵なご飯ありがとう!また連絡するね」
「じゃあな」
ドアを開けて二人が出ていくと、千里はドアの鍵を締めていた。リビングに戻り広いL字ソファに二人で腰掛ける。
隣には座るけれど運転席と助手席くらいの距離感はあった。近づいたりすることはなく、千里は背もたれに寄りかかってクッションを私に投げ渡してきた。
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