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「さっきの大輔の言葉、気にしてただろ。結婚云々のやつ。お前のことは探してたけど、それが理由じゃないからな。仕事とプライベートが充実してて、結婚とか考えられなかっただけだからな」
「聞いて……」
また強がった発言をしてしまいそうで口をつぐんだ。先々週、芽衣と約束したのだから素直に言わないと。
「うん……、わかった」
そのままクッションを抱きしめた。
「それだけ。アルコール抜けたら送る。あと一時間くらい待って」
オットマンに足を乗せて横になろうとしていた。私はクッションを抱き、目を瞑る千里をちらっと横目で見つめた。眼鏡をかけたまま目を瞑っていて、整った顔が際立っている。寝ている姿なんて何万回も見てきたのに、どうしてこんなにときめくんだろう。
ちゃんと言わなくちゃ。千里がいつも伝えてくれているように。クッションに抱きしめる力が強くなる
「………寝てる?」
「寝てないけど」
「……私も話していい?」
「どうぞ」
目を瞑ったままの千里をじっと見つめる。
「私……、千里のこと昔から好きで………、今も好き」
「…………は?」
千里は目を開けて上体を起こして私の顔をじっと見ていた。
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