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「手、握っていいか?」
「うん」
私の左手を、ゆっくり包むように握ってくれる。暖かくて。千里の優しさが伝わってくる。涙を拭って視線を合わせると恥ずかしそうに目を泳がせている。
「………ていうか、好きっていったな?」
「え、それいま?」
「いや、スルーできないだろ。初めて聞いた。超嬉しかった。もう一回言って?」
ちゃんと隣りにいるんだもの、言わないと。いつも優しく寄り添うようにいてくれるんだもの。
「千里が好きだよ」
まっすぐ目を見てそういうと、嬉しさを噛みしめるようにうつむいで微笑んでいた。
手はずっと握られたまま、くすぐったい時間が流れた。
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