6131人が本棚に入れています
本棚に追加
正味一時間ほどで、大輔は帰っていった。嵐のような男だな、と思いつつ、ビールを口に注いだ。ゆっくりビールを飲みつつ、少し散らかったソファテーブルを片付けていった。
シャワーを浴びたあとに、大輔からメッセージが届いていた。
『千里、ありがとう。結果は明日報告するから〜!』
結果は100%知ってるからいらない、と思いつつ、了承のスタンプだけを押して返信をした。
四人でパーティーをした日、麻海から告白をされた。
「私……、千里のこと昔から好きで………、今も好き」
麻海がそう言ってくれたとき、驚いたし、心が踊った。
麻海から好きと言われたことなんて、出会って25年で一度もなかった。真っ直ぐな瞳をして好きといっえくれたから、抱きしめたくなったが、彼女の事情を知っているから、気持ちを抑えて冷静に対応をしたつもりだった。
自分のことで精一杯なくせに、俺のことを気にかける麻海。自分の気持を伝えることがド下手くそなあいつが、気持ちを素直に言うことにどれだけ勇気がいったか俺には計り知れない。まっすぐ向き合おうとしてくれているだけで、俺は嬉しかった。
好きな人に好きと言われることがこんなにも幸せなことだとは思わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!