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素直になれなかった過去
出会いは3歳のときだった。
新しい家に引っ越して、隣の家に挨拶に行った。父に手を引かれて、私はお菓子の入ってる紙袋を持たされていた。
大きくて広いお家、きれいなガーデニングが施されたお庭、子どもながらに素敵だな、と思っていた。
玄関まで上げてもらうとそこには同じくらいの男の子がいて、あちらのご両親もいる。男の子はお母さんの後ろに隠れてこちらを覗いていた。
「隣の家に越してきた二階堂です。よろしくお願いします。」
父親がそう言って、私にお菓子を渡すように促すので、私は前に出て紙袋を持った手を前に差し出した。
「あら、ありがとう」
受取ったのは、あちらのお母さん。親同士の会話は正直覚えてない。なにか話が盛り上がっていて、後ろに隠れていた男の子が前に出てきた。くりっとした目で黒髪はサラサラでかわいい、となんとなく思った。
「なまえ、なに?」
「あさみだよ」
「ぼくはせんり」
「麻海ちゃん、この子は麻海ちゃんと同じ3歳で、幼稚園一緒だからよろしくね」
そう言われて、千里に、にっこり笑いかけると、ぷいっとそっぽを向かれた。それが、千里との最初の出会いだった。
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