◎言葉以上の告白

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「呼ばないよ。俺は、麻海が好きだから、他の誰かに期待をもたせるようなことはしない。あいつ以外とは、結婚しない。  誰も、麻海の代わりなんてできないんだ。だから、謝らないといけないと思って。高校の時、谷貝さんのこと好きじゃないのに付き合った。付き合ってから、頑張って好きになろうって思ってた…。でも、できなかった。  俺がそれに気付くのが遅くて、期待を持たせてしまっていたんだよな。最低なことして、ごめん」  頭を下げて謝るが、柚は納得した表情はしていなかった。 「……………二階堂さんは、千里に何をあげられるの?なんにもあげられないでしょ?私は、社会的に上の立場だし、結婚すればメリットしかないわよ?健康的だし、お金もあるし、自分で言うのも何だけど顔もスタイルもいいほうよ?  千里となら、将来の子どもだってきっと顔も良くて可愛い子になるはずで、ご両親にだって気に入られてるわよ?世間からみたら、私のほうが千里に合ってる。それに、祝福してくれる人だって多いわよ?」 「……今、谷貝さんが言ったメリットって、社会から見たらそうかもしれない。でも、俺はそのメリット全部いらないんだ。ただ、そばにいてくれるだけで幸せだなって思える相手が隣にいれば俺はそっちが幸せなんだよ」
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