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自分の行いについてまわるアイツの正体を追え!
わたしの名前は白土地花。
小学5年生。
由緒ある神社の娘なの。
ご先祖様たちが守ってきた神社は特別な力が宿ってるそう。
厄除けからはじまり、病気・怪我はたまた失恋の痛みまでなんでも癒すことで有名なこの場所は、男女問わずいつも参拝に来る人でいっぱい。
この土地は妖も寄りつかないほどの強力な結界が張ってあるんだって。
学校のみんなには内緒なんだけど、白土家の人間は生まれつき妖怪が視えるの。
そして、なんと千年に一度現れるという伝説の力があって……。
「地花。ぼさっとしてんな。置いてくぞ」
「えっ!?ちょっと待ってよ〜」
ほかほかの白飯、あったかい味噌汁、美味しそうな焼き鮭、大好きな卵焼き。
箸を持ってからまだ数回しか口にしていない。
それなのにいつの間にか時計の針は学校へ向かう時刻をさしている。
考え事してたら、ご飯を食べそこなっちゃった。
……あ、っとその前に。
さっき聴こえた来た声の主は、わたしのお兄ちゃん。
中学2年生の剣道部。
思春期真っ只中のせいか怒りっぽくて睨むとすっごく怖いの。
甘いルックスから、こんな性格でも彼女持ち。
「……なんか言ったか?」
「ううん」
ギロリと飛んできた視線が弓矢のようにおでこに突き刺さる。
……いたたっ。
手でさすりながら笑顔で起き上がる。
勘が鋭いからバレるととっても厄介。
お兄ちゃんの中学校に行くには、わたしの小学校へ行く道のりだと遠まわりになっちゃう。
それでも欠かさずいつも一緒。
毎日送ってくれるから聞きそびれてたけど、お父さんの話では「女の子は危ないから心配なんだよ」ってことらしい。
シスコン?とか言ってた気がする。
よく分からないけど、お兄ちゃんといると安全ってことだよね。
ぐいっ
「うわぁ!」
襟元ごと玄関の向きにへ引っ張られる。
おニューの服なのに〜。
ドタドタと床を踏み鳴らしてる兄の頭から怒りという名の蒸気が。
……こっ、怖い!
「トロすぎんだろ。遅刻してぇか、こら」
真っ赤になった顔は恐ろしい形相で鬼もびっくり。
勢いつきすぎて目がまわる〜。
「地花ちゃん、真人くん、いってらっしゃい」
開いた障子戸の隙間から手をひらひら。
白いハンカチをちらつかせたお父さんがいきなりにゅっと伸びてきて目が合った。
ブレる視界に映る、にっこり笑顔。
なんだか楽しそうに見える。
なんでぇ?
「行くぞオラァ」
ひえぇぇっ!
玄関まで一直線。
ぎゃあぎゃあ騒ぎながらドタバタの一日がはじまった。
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