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「精霊だと隠してはいないのですが、敢えて公言はしておらず」
「そうでしたか……」
「怖いと思いましたか?」
「いいえ!」
あまりにも全力で否定したので、二コラは一瞬面食らったようだった。
「所長がわたくしにとって憧れであることに変わりはございません。精霊であろうが人間であろうが、もっと所長のことを知りたいと思っています」
「それは、つまり」
二コラが口元を左手で覆った。
「先に殿下へ宣言してしまいましたが、事実にしてしまってもよいと?」
「……!」
(どうしましょう。こういうときは、どう答えれば正解なのかしら?)
散々迷った末に、カロリーナは頭を下げた。
「……お手柔らかにお願いいたします」
「よかったです。嫌われたらどうしようと思いましたが安心しました」
「嫌うだなんて、そんな!」
するとニコラは、カロリーナへ近づき、甘い声で耳打ちした。
「僕はあなたが好きです。今日の歓迎会、楽しみにしていますね」
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