【コミカライズ】悪役令嬢だと言われて婚約を破棄されたので、隣国で魔法の研究者になろうと思います。

2/15
前へ
/15ページ
次へ
「えぇ、かまいません」  その後もおよそ王子らしからぬ吠え方をしていたが、カロリーナは無視して王宮を出た。  見えないものは証明できない。何を言っても無駄だろう。  まともにアンリと話し合えたのがいつだったかカロリーナは覚えていない。  常に違う女性を侍らせている婚約者に愛想をつかしたのが、いつだったかも。  迎えの馬車が停まっている。というか送りの馬車をそのまま留め置いてもらっていた。 (殿下の思慮に欠ける行動は以前から問題になっていましたから、わたくしのことをいくら非難したって、誰も信じることはないでしょうね。可哀想なアンリ様)  馬車に揺られながらカロリーナは瞳を閉じた。  そして考える。今まで縛られてきた己の人生について、この瞬間だけ、いくつかの選択肢が生まれていることに。 (そうですわ。……隣国(マギア)へ行きましょう!)  ぱっとおおきな瞳を開く。 (隣国は魔法大国。わたくしの魔力量も普通くらいのはず。公爵家から離れて自由に生きる――きっと、今がチャンス)  決めてしまえば心は既に隣国へ飛んでいた。   ★  カロリーナの想像通り、公爵家に罰が下ることはなかった。  国王からは『なんとか考え直してくれないか』と再三引き留められたものの、カロリーナは『殿下の意志は固いようですので、わたくしからは何もできません』と断った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加