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運動部らしい爽やかな短髪に、大きな目。背が高くてがっしりした体型にブレザーがよく似合う。
今日も、爽やかでかっこいい。
「よかったね、また同クラになれて!」
「うんっ」
私はこくっと頷いた。
神様、高林君と同じクラスにしてくださってありがとうございます。
「5月は修学旅行、夏休み、10月は文化祭、受験生といえども1年中イベントは目白押し! どっかでチャンスあるんじゃないー!?」
「いつか、お話し、できたらいいなぁ……」
友達と楽しそうに話している高林君を遠目に眺めながら、欲望をぼそっと呟く。
「お話しじゃなくてさぁ、彼女目指してよ! 欲がないなぁ!」
「ちょ、声大きいよ!」
高林君とは1年生の時に同じクラスで、たまたま隣の席になった。
黒板をまっすぐ見る横顔がふと、綺麗だなと思った。絵を描くのが少し得意な私は、気づいたらその横顔を写生していた。
放課後になるとサッカー部の練習でグラウンドの端から端までを溌剌と行き交う姿が3階から見えて、それもまた綺麗で写生していた。
高林君はいつも一生懸命で。
でも悔しい時は結構感情的で。
そんなことをしている間にいつの間にか彼が好きになっていた。
サッカー部のエース格の高林君が私を見てくれるなんて絶対ないと思うけど、夢は見てしまう。
「ほんと好きだよねぇ高林。彼女いないらしーし、告白とかしたらいいのに!」
「告白ぅ!? む、むりだよ!」
「中学ん時さー、高林がみんなで話してるの聞いたの。『おとなしくて静かな子が好き』って……美桜みたいなタイプ、好きだと思うけどなぁ」
ぼんっと顔が赤くなる。
「私、むりっ!」
告白なんて無理だし、彼の隣にいる自分なんて全然考えられない。
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