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明るくて溌剌なほのぴの顔が、少し心配そうにかげる。
「ねぇ、成人になったんだから美桜はもう自由になれるんだよね? あの家、出ていけるんだよね?」
「うん! 今日から10日以内に後見終了の届を出してもらって、2ヶ月以内に両親の財産の整理をしてもらって、私が引き継ぐように手続きするの。そしたら新しい生活ができるの!」
ほのぴを安心させるように明るく答える。
「自由を手にするまであと少しってことだよね」
「うん!」
「ほんと良かったよね、成人が引き下げられたタイミングで成人になれて」
「……うん」
「ハタチが成人のままだったら、あと2年もあの家にいなきゃいけなかったし!」
おぞまし〜という感じのリアクションをするほのぴ。
みんなにとっての新法は、高校生なのに大人扱いされて戸惑うのかもしれないが、私にとってすごく重要で重大な意味を持つ。
私は小3の時から、橋田弘孝伯父さまの家で暮らしている……暮らさせてもらっている。
小3の時、両親が交通事故で亡くなり行くアテがなくなった私を、父の兄である伯父さまが引き取ってくれたからだ。
両親の突然の死で親族一同大パニックになり、親戚中をたらい回しになりそうだったけど、後見人に名乗り出てくれた弘孝伯父さまには本当に感謝している。
施設行きという未来もはっきり見えたから、余計に。
だけど、やっぱり家族じゃない家で暮らすのも、家族じゃない人間を迎え入れるのも、双方にとって自然ではなかった。
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