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店員さんに話しかけにいく北条君。
私はハラハラしながらその様子を眺める。最初は苦笑いされていたが、いきなり血相を変えて奥に引っ込んで行く店員さん。
なんなの……?
何が起こったの……!?
「俺、ここの社長さんと交流があるんだよね」
戻って来た北条君が、イタズラな笑顔でこそっとタネを明かす。
「属性で態度を変えるならしゃーない。こちらも同じようにしてやるしかないよな」
もう、どんな高校生ですか……。
直後、まるで挽回するように別室に通された私たち。中は広く、より一層ラグジュアリーな雰囲気。
さきほどまでとは打って変わって笑顔を浮かべたスタッフが何人も控えていて、お客様というよりもうVIPって感じで……それはそれで居心地が悪い。
「北条様!」
男性が飛び込んで来る。
見るからにお店の責任者っぽい風貌の男性。
「北条様、私の教育が行き届いておらず、スタッフがとんだ失礼してしまい申し訳ございません……!」
「せっかく通していただいたのですが、今日はもう案内していただかなくて結構ですよ」
と言って北条君が立ち上がると、相手はみるみるうちに顔色を失っていった。
「し、しかし……!」
「一流のブランドだと思ってこちらを選びましたし、世間の評価もその通りでしょう。ですか妻に悲しい顔をさせました。僕にとってはその時点で一流ではなくなりました」
私ならすごすご帰ってるのに、主張も、相手を一泡吹かせることもできて凄い……。
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