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結婚当日―18歳、誕生日、成人
私の1日は朝の5時から始まる。
ピピピと鳴る目覚ましを止め起きると、眠い目を擦りながら1階に降りていく。洗面所で顔を洗ってから制服のワイシャツとスカートを着る。そこにフリースのコートを羽織る。
「タロウちゃん、おさんぽ行こうね〜」
しっぽを激しく振って期待しているポメラニアンのタロウちゃんを抱っこして家を出て、まだうっすら暗い道を歩く。
「おはようございます、まだ寒いですね!」
ご近所の方と挨拶し合いながらタロウちゃんの赴くまま行く。
帰って来たらトイレとお風呂の掃除をする。
エプロンを着けてキッチンに立つ。
今日は和食。
焼き鮭。
ベーコンと目玉焼き。
きんぴらごぼう。
ひじきと豆の煮物。
冷ややっこ。
しめじとたまねぎのさっぱり合え。
わかめとえのきのお味噌汁。
野菜サラダ。
ダイニングテーブルに完成した3人分のお皿を並べる。
飲み物はホットコーヒー、紅茶、アイスコーヒー。それぞれ好きな銘柄があるのできっちり抑える。
パジャマ姿のお人形さんのような女の子が、2階からあくびをしながら降りて来た。
「舞香さん、おはようございます。今日は焼き鮭……」
「え〜。こんなの食べたくない! 美味しくなさそ」
舞香ちゃんはいつもこう言う。
私の料理は美味しくない、と……。
「美桜のご飯はマッズイの〜」
愉快そうに歌いながらお皿を次々手にとって、ばさっと、お皿ごと流しに捨てた。
予算をやりくりして買った食材。
見栄えや栄養、アレルギー、好みを考えたメニュー。
全部生ゴミになってしまい涙腺が緩んでうるっときた。
でも、流さない。
いつものことだと、自分に言い聞かせる。
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