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「……伯父さま、あの、私の届なのですが……」
意を決して切り出すと、ちっと舌打ちされた。
「その話は後からだ。お前の書類を作るのはめんどくさいんだぞ! 分かってるのか!」
「しかし、もう今日は……!」
今日ばかりはいつものように引けず、伯父さまの腕を掴んで食い下がる。
「しつこい!」
「きゃ……!」
跳ね除けられて床に倒れこむ。
「あの……」
恐る恐る視線を上げた私はぎょっとする。
倒れ込んだことでスカートがまくれた足を、ジッと見られていたから。
私はさっと立ち上がった。
「繁忙期なんだ、面倒なことを言うんじゃない」
「ごめんなさい……行ってらっしゃい……」
謝りながら伯父さまの背中を見送っても、さきほどの視線がじっとり体にまとわりついているようだった。
昔から……伯父さまへの違和感があった。
お風呂から上がって脱衣所に出ると忘れ物をしたと中に入って来たり。
着替えてる最中に部屋に入って来たり。
えもいわれぬ視線で脚や胸元を見ていたり。
さっきの視線は、なに……?
頭を振った。
考えたくない。
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