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まだまだコートが手放せない、寒い日。
春休みが終わり、今日は3年生最初の登校日で始業式。
「また美桜と同じクラスで嬉しい〜!」
「ほのぴ〜! 私も〜!」
大の仲良しの梶原穂乃果ちゃん――通称ほのぴと同じクラスになれたことを、私は体いっぱいで喜んでいた。
新しい教室に向かう。
うちの学校は3年生は1階に教室があって、2年生は2階、1年生は3階と年齢に合わせた割り振りになっている。
階段を登らなくていいだけラクだし、だるそうに登っていく下級生に対して謎の優越感が生まれる。
「うちらあの階段もう登らなくていいんだ!」
「遅刻しそうな時はダッシュしたら滑り込めるね!」
もしかしたら過去の3年生もこんな気分だったのかなぁ……と考えながらふたりで3-Aと黒い文字で書かれた教室プレートを見上げる。
教室も廊下も登校して来た生徒でわいわいしている。中には引き続き同じクラスになれたことを喜んでいる子たちもいて、初日らしい雰囲気。
「よっし、美桜、手繋いで行こう!」
「うん!」
ほのぴと手を繋いで『せーの』で教室の扉をくぐる。
「高校3年生だー!」
教室に入るとちいさく拍手をして、揃って進級できたことをささやかに祝い合った。
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