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花見を楽しんだ後は、穏やかな日が続き、えんどう豆の鞘は
はち切れんばかりに膨らみ、苺は、真っ赤に色付く。
皆が待っていた、えんどう豆ご飯が、炊きあがった。
「わぁ~良い色」真っ白なご飯に、鮮やかな緑色のえんどう豆。
それを口にし「旨いっ」「旨いな~」「お代わり~」「私も」
皆は、その美味しさに、何度も、お代わりをする。
次々と熟れる苺も、食べるのが間に合わず、ジャムにする。
台所や、部屋中に、苺の甘い香りが充満し
出来上がった、真っ赤なジャムは、ビンに詰められる。
「これ、パンに付けたら、最高だよ」と、ジャムを掻き回していた
木べらの先を触った指を舐めながら、玲音が言う。
「どれ」と、大蛇丸も、木べらの先を指で撫で、その指を口に入れて
「旨っ」と、玲音と顔を見合わせ、頷き合う。
大蛇丸は、鍋に少し水を入れ、木べらで掻き回して、鍋に付いている
ジャムの跡を水に溶かした、玲音が、氷を二つ入れたカップを持って来た。
そのカップに、鍋の中の水を入れ、飲もうとしていると
「何をしてるの?」と、瑠奈が来た。
「え、え~っと」「鍋に付いているのが、勿体なくて、、」
二人が、焦った声で言うと「もう~しょうが無い人達ね~」
瑠奈はそう言うと「はい」と、二人のカップの中に
ジャムになっている苺を、一つづつ入れて呉れた。
「本当の、苺ジュースになった」二人は大喜びで、甘い苺ジュースを飲む。
「瑠奈は、甘いのぅ」それを見て、銀が笑いながら言う。
「良いのよ、二人とも、良く手伝ってくれるんだもの」
瑠奈は、マキが呉れた山の蕗を、せっせと佃煮にしながら言う。
この佃煮を作るのは、二度目だ、始めの分は
えんどう豆ご飯によく合うとか、酒のつまみに良いとかで
直ぐ無くなり、また食べたいと言う、皆のリクエストに応えるものだった。
程よく乾いているちりめんじゃこと共に、鍋の汁が無くなるまで煮て
それをバットに空け、冷ます。
「あ~ずっと火の傍に居たから、暑くなっちゃった」
瑠奈は、竈の傍を離れ、冷蔵庫から麦茶を出すと、ぐ~っと飲み
傍の椅子に座って、一休みする。
それを見ていた銀は、そっと蕗を一本つまむと、大急ぎで口に入れ
家の外に出て、もぐもぐと食べ
「今回のも、良い味だ、晩酌が楽しみだな」と、喜ぶ。
何食わぬ顔で帰って来た銀に「銀ったら、佃煮つまみ食いしたのね」
と、瑠奈から叱られる「な、何で分かった?」驚く銀に
瑠奈は、黙って手鏡を見せた、鏡には、口の右端が黒くなっている
銀の顔が有った、大急ぎで口に入れたのが、失敗の元だった。
「面目ない、、神に有るまじき行いだった」銀は、項垂れる。
「良いのよ、どうせ銀には、味見をして貰う、つもりだったんだから。
で、どうだった?味は?」「前回のより、更に旨かった」
「そう?良かった~~丁度、注文していた、新潟の新酒が届いたの
それ、今晩、空けるわね」「何っ、新酒?」「うん、評判が良いんだって」
「そうか、楽しみだな~」怒られた事は、すっかり忘れて、喜ぶ銀だった。
そんな穏やかな日が続き、田作は田植えを始め、皆も手伝いに行き
瑠奈は、皆の為に、美味しいおにぎりや、サンドイッチを沢山作った。
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