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早速、パソコンで調べていた龍が「折角の花見だ、ちょっと遠いけど
戸波さんの近くに有る、新願寺と言う、お寺はどうかな?」と、言う。
別名、桜寺と言われるくらい、桜が見事なのだと言う。
「それは良い、ついでに戸波さんの所へ行って、雲龍を研いで貰おう」
と、九尾が言う、闇を切った所為で、雲龍には曇りが有るそうだ。
「良いね~俺の、蛇の目丸も研いで貰おうっと」と、大蛇丸も言う。
その翌々日、花見の準備も万端に、車に乗り込んだ皆は
浮き浮き気分で、高速を飛ばす。
まず、戸波の家に行き、刀を研いでくれと頼む。
「急がなくて良いから」と言う、大蛇丸の刀と、雲龍を見て
「これは、、一体何を切ったのだ、、」と、驚いた戸波だったが
じっと銀の姿を見て『いや、何も、聞くまい』と、胸の中で呟く。
そんな戸波に、お土産だと、餡子ぎっしりで
ずしりと重い、食パンを渡しながら
「戸波さんも、一緒にお花見に行きませんか?」と、瑠奈は誘った。
「そうだよ、朝から晩まで、刀を研いでいちゃ、身体に悪いよ」
大蛇丸も、そう言って誘う「花見か~久しぶりに行くか」
戸波は、餡食を、いそいそと戸棚に仕舞って言う。
その戸波を車に乗せ、新願寺へ急ぐ「わぁ~っ」お寺に続く道は
両側に桜の大木が有って、満々開になっている桜が、トンネルを作っていた。
そこを、車が通過するたびに、道に溜まっている花びらが舞い上がり
ちょっと風が吹く度に、桜の花吹雪が、襲って来る。
「凄い」「凄いな~」皆は、その美しさに息を飲む。
その桜の道は、蛇行しながら上へ上へと続き、その頂上に
広い駐車場が有り、ちょっと階段を登った所に、小さなお寺が有った。
駐車場の周りにも、空一杯に枝を広げた、桜の木が有り
花見に来た皆は、その桜の下で、思い思いに、桜を楽しんでいた。
瑠奈たちも、眼下に、今、登って来た道が見える場所に、敷物を広げる。
「良いね~上も下も、桜まみれだ」と、玲音が、燥ぐ。
弁当を広げていると、ゴーンと、鐘の音が響く。
正午の合図なのだろう、鐘の音が響く度に、桜がはらはらと散る。
「桜に、鐘の音か、良い取り合わせだ」「ほんに、良き物ですな~」
千年ぶりの桜に、感無量の銀と九尾だった。
「まずは一献」九尾は、銀に酒を注ぎ、戸波や龍や大蛇丸
八丁や玲音まで、盃を持って「この良き花に」「乾杯!!」と、盃を空ける。
そしてまた「この良き日に」「乾杯!!」と、次々と、瑠奈が作った
美味しい弁当を食べながら、乾杯を続け、後は、それぞれ好きな酒を飲む。
「戸波さん、甘党じゃ無かったんですか?」と、瑠奈が聞くと
戸波は「私は、宮本武蔵なんじゃ」と、出汁巻き卵を、持ったままで言う。
「何?それ」と、玲音が聞き「二刀流という事さ」と、大蛇丸が教える。
「そうそう、甘い物も酒も、どっちでも行けるって事」
自分もそうだと、八丁は、唐揚げを頬張り、焼酎を飲みながら、言う。
「そう言えば、うちは、私以外、全員二刀流なんじゃない?」と、瑠奈が言う
「言われてみれば、、確かにそうだな」皆は、酒も好きだが
善哉や、お萩などの、甘い物も大好きだった。
「何しろ、瑠奈が作ってくれる物は、何でも旨いからな~」と、九尾が言い
「そうそう、ご飯もおやつも、この上なく旨い」
大吟醸の酒で、ほろ酔いの銀まで言う。
「皆さんが、羨ましいよ」戸波が、ぽつりと言った。
「じゃ、戸波さんも、友達を作れば?」と、玲音が言った。
「それが出来ていれば、この歳まで、一人で居る事は無かったんだが」
「戸波さんは、そんな物より、刀の方が好きだからな」と、大蛇丸が言う。
そう言われて『不器用で、友達を作れなかったから
刀に、のめり込むしか無かったんだ』と、戸波は、胸のうちで呟いた。
思う存分、桜を楽しみ、いい気分に酔った皆を、車に乗せ
瑠奈は、まず戸波を送ってから、家へと急ぐ。
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