瑠奈の幸せ

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「去年は、こんな事は無かったよな」と、玲音が言う。 「うん、まだ落ち着かない毎日で、誕生日も、月見も忘れていたわ」 瑠奈がそう言うと「私達も、来たばかりだったしね」と、龍が言い 「そうそう、去年は、雨続きで、月見も出来なかった」と、銀が言う。 「かぐや姫か、その子孫かは知らないが、瑠奈を見守ってくれている 月人が居るって事だよな」と、大蛇丸が言う。 「分らないわ、あんなに遠いんだもの」瑠奈は、もう一度、月を見て言う。 「でも、聞こえたんだろ?お祝いの言葉が」と、九尾が言う。 「聞こえた気がしただけかも知れない」もう、はっきりとした自信は無かった 「あの光、瑠奈の体に吸い込まれたみたいだったよ。 きっと瑠奈は、月人としての力を貰えたんじゃないか?」と、九尾が言う。 「まさか」瑠奈は、打ち消したが 「いや、そうかも知れないぞ、瑠奈、雲龍を抜いて見ろ」と 銀が、雲龍を渡す。 「だから~そんな事は無いって」と、瑠奈は、しぶしぶ雲龍を抜く。 すると、銀色に輝いていた雲龍に、瑠奈の手から放たれた 金色の光が合体して、金色と銀色の炎を纏う、荘厳な神の剣となった。 「わぁ~っ」皆は驚く。 「絶体絶命の時しか出せなかった力が、何もせずとも、簡単に出せる。 やはり、成人した、お祝いを貰った様だな」と、銀は言う。 「瑠奈、凄いぞ、これなら、どんな闇だって、うち払える」 まだ、信じられず、呆然としている瑠奈に、皆が言う。 「瑠奈、この剣で日本中の闇を払おうよ」 「そうだよ、瑠奈も陽介の様に、困っている人を助けるんだ」 「それが良い、私は、大型のキャンピングカーを買うよ」と、龍が言い 「それで、日本中を巡るんだ」「お~~っ」皆は、拳を突き上げる。 「ま、待ってよ、それは良いけど、秋の収穫は、どうするのよ。 子供達に、サツマイモの収穫もさせないと」と、言う、瑠奈の言葉に 「そうだった、サツマイモの収穫を済ませてから、出発しよう」 「そうだな、畑仕事の少ない、冬にかけて行くとしよう」「賛成!!」 「瑠奈と、雲龍の剣が有れば、どんな闇でも、簡単に消せる。 日本中の闇を打ち祓うのは、ひと冬も有れば、十分だろう」と、九尾が言う。 「日本中の闇を退治した後は?」と、大蛇丸が聞く。 「戦争をしている、あの両国へ行って、闇を退治し、戦争を止めさせようよ 私の城を壊した両国へ、お礼として、闇を退治してやるんだ」と、玲音が言う テレビで見る限りでは、両国の代表者や、国民達に、闇は見えないが 「遠いし、電波を通して見るから、闇は見えないだけだろう。 行ってみれば、どっちの国にも、闇に染まった真黒な人で、溢れている筈だ。 日本より先に、そこへ行っても良いな」と、銀が言う。 「でも、出国となれば、パスポートも要ります、皆さんには 戸籍も有りませんしね~それを解決する、色々な手続きが必要になります」 と、弁護士としての龍が言う。 「じゃ、それが、出来るまでは、日本の闇を駆除しよう」と、八丁が言う。 「そうして、世界中の闇を、退治した後は?」と、玲音が聞く。 すると銀が「数年もすれば、闇は、また人の心に、巣くうんだ。 完全に退治する事はできない、何故なら、闇は、妬む気持ちや、寂しい人や 悲しい気持ちの人の心に、何処からか、するりと入り込むからな~」と、言う 「そんな人が、全くいない世界なんて、無いからな~」と、九尾も言う。 「じゃ、私達の闇退治は、永遠に続くって事?」瑠奈が、初めて口を挟む。 「そう言う事になるな」「良いじゃないか、ここで楽しく暮らしながら 冬になったら、闇退治に行くって言う生活も」と、大蛇丸が言う。 「そうだ、そうだ」と、言った皆は、一人ずつ 「瑠奈と一緒に、畑を耕して」「瑠奈と一緒に、村で餅を搗いて」 「瑠奈と一緒に、海や花火を楽しんで」「瑠奈と一緒に、買い物をして」 「瑠奈と一緒に、美味しい物を食べる」と、言い、最後に銀が 「私達は、ずっと瑠奈と一緒に居るのが、幸せなんだ」と、言った。 「有難う、皆、そんな事を言って呉れる、皆と暮らせる私は 世界一の幸せ者だわ」瑠奈は、目を潤ませて、そう言った。 「世界一じゃ無くて、宇宙一と言って呉れる様に、皆で頑張ろう」 玲音の言葉に、皆は「お~~っ」と、拳を突き上げた。   (完)
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