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愛を紡ぐ
宰相閣下は僕を見つめると、顔を近づけ何度もキスをした。
「君が大きくなる度に、どんどんキレイになっていくから焦ったし、何度も婚約を諦めようかと思った。遠くから見ているだけで満足だったのに、いつの間にか独り占めしたいと思うようになっていたんだ」
「んっ‥‥‥」
「好きなんだ‥‥‥。アレク、君を愛している」
「僕もジル様を、愛しています。今も昔も、ずっと‥‥‥」
僕が宰相閣下の青い瞳を見つめると、胸の奥が熱くなってきた。身体中の細胞が開いたように感じる。
「アレク? どうしたんだ‥‥‥。もしかして、発情しているのか?」
「最近、体調がおかしかったんで、もしかしてと思って『抑制剤』を飲んできたんで大丈夫です」
「抑制剤を飲んで、この状態なのか‥‥‥」
宰相閣下が触れた腕の部分が熱くなり、身体が震える‥‥‥。ちょっと触られただけで、おかしくなりそうだった。
「アレク、少しだけ楽になろうな?」
宰相閣下はそう言うと、僕をお姫様抱っこしてベッドまで運んだ。
「えっ?」
「大丈夫だ‥‥‥。アレクは、どこもかしこも美しいよ」
そう言って、宰相閣下はもう一度、僕の身体をあやす様に撫でていた。宰相閣下に耳元で「愛してる」と囁かれた瞬間、僕はいっぱいいっぱいになってしまって、意識を飛ばしてしまっていた。
*****
2週間後。身内だけのパーティーに、形ばかりの結婚式だったが、僕達2人は結婚した。宰相閣下の伴侶になることが出来て、僕は今まで以上に幸せを感じている。
「‥‥‥どうしたの?」
耳元で囁かれた声に反応して、僕は一緒に寝ていたベッドから起き上がった。
「ううん。ジル様と一緒になれて幸せだなぁって、思って」
ジル様は僕を抱き寄せ、触れるだけのキスをすると、そのまま僕のことを抱きしめて、朝まで離さなかったのだった。
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