シャロンは気づいていなかった最低なジェリーが最高のジェリーフィッシュだったことに

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 マシューが手をつかんでくれたので転ばずに済んだ。だが、運の悪いことにシャロンはコンタクトを落とした。彼女は極度の近眼で、コンタクトかメガネがなければ、人物の輪郭はわかっても顔までは良く見えない。  「シャロン大丈夫か?」  「マシューどうしよう…コンタクトが…」  「けがはない?」  「ええ、あなたが手をつかんでくれたから、でもこれじゃバクスターの顔が分からないわ」  「まあ、今日は挨拶だけだから、いいんじゃないか。紹介が済めば今日は帰るから、向こうが君の顔を知ってくれればいいんだから」  「ええ、まあそうですけど…」わたしだってバクスターの顔が知りたいのに…そんな嫌な奴の顔がどんなか見たかった。きっとはげで太ってるわね。  まごまごしているうちに、ドアから彼が出て来た。きっとわたしが騒いだからだわ。  「やあ、マシュー何かあったのか?」バクスターが声をかけた。  「ああ、Mr.ゴルドー、いえ、何でもありません。シャロンがつまずいただけですから」
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