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そう…彼は作家志望で小説を書いていた。
そしてある日彼がわたしの家に転がり込んできた。
「シャロン頼む。女の所から追い出された。君と付き合ったことがばれた。だからここにしばらく置いてくれないか?」それが悪夢の始まりとも気づかずわたしは大喜びで彼を狭いアパートメントの中に招き入れたのだ。
バージンを捧げた男と言うのはこれほど女にとって大切な存在になってしまうものだろうか?
今思えばおぞましき勘違いだった。
悪名高き、能なしジェリーフィッシュ……これはわたしが彼に突けたあだ名だが…海を漂うクラゲのように、彼はわたしの望む安定した暮らしをするタイプではなかった。
そして女友達は相変わらずいっぱいいたし…わたしはその他大勢のひとりにすぎなかったのだから…
もう忘れなさい。こんなラッキーな話の日にこんなこと思い出すなんて、どうかしてる。
わたしの人生はこれからバラ色に輝くのよ。あんな下らない奴のことなんか。きれいさっぱり忘れてしまうのよ!
シャロンはそう思い直すと、ジェリーの記憶をきれいさっぱり脳から押し流した。
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