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シャロンはサイドテーブルにあったペットボトルの水をごくりと飲んだ。だが、ペットボトルを持つ手は震えていた。
今の彼女はほとんど無力と言ってもいいほど、弱っていた。
腕は痛いし、仕事は心配だし…おまけにずっと忘れられなかったジェリーが目の前にいる。眼鏡をかけたせいで、彼のハンサムな顔がまぶしい。心配して優しくされるとうれしさで胸がいっぱいになった。
そんな自分が恐かった。
「ごめんシャロン。ジェームスからだった。後で様子を見に来るって」
「えっ?電話ってジェームスなの?」
「ああ、ほら見てごらん」彼が着信を見せた。はっきり書いてある。ジェームス編集長と…
もうわたしったら…
「お前、もしかして女からと思ったんだろう?いるわけないだろう。特定の女はいない。そりゃ僕だって男だからたまには必要なんだ。その…解消するためだけに…」
「まあね。ジェリーあなたって、わたしといる時だってそうだったものね」何気ない嫌味が口を突いて出た。わたしはまったく意識して言ったわけではなかった。本当に本心がぽろっと出たのだった。
もう薬のせいよ!
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