シャロンは気づいていなかった最低なジェリーが最高のジェリーフィッシュだったことに

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 「まあ、個人的には、バクスターってすごく嫌な人みたいだけど、これも仕事だもの。わたしはとにかく彼から原稿を頂ければそれでいいんだし、彼の私生活に立ち入ろうなんて思ってもないから…でも最近ではどの作家もパソコンで原稿はメールで送ってくるはずじゃないのかしら?こうやって取りに行くのは珍しいんじゃないんですか?」  「ああ、もっともだ。こちらもパソコンを用意すると言ったんだが、彼はパソコンは使わない主義だって聞かないんだ。原稿をメールで送ってくれればこんな面倒なことをしなくても済むのに…」  まったく!  という声さえ聞こえてきそうだ。いつもは礼儀正しく自信を持ったマシューがこんないら立ちを見せるなんて、バクスターって相当嫌なやつなんだわ。  それなのに…わたしなんかが担当者になってうまくやっていけるのかしら?  何言ってるのよ。まだ始まってもいないことでくよくよしても仕方ないじゃない。とにかく彼とは真摯に向き合って、信頼を得るしかないわ。
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