Sweet Pain : あの日の雨は

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 一晩考え込んだ。  同時に気持ちが高ぶってくるのを僕は感じていた。  好きと言われてから初めて相手のことを意識し始める恋愛ケースが世にはあるようだが、僕のこれが、まさにそれだった。  が、好意の表明に対し無視した形となった僕の態度にヨッコは大変失望していたのだろう。  翌日、朝の会の前のざわめきの中で、これもキミヨとの会話で、聞えよがしにこう言い放った。 「サカシタ君のこと、大っ嫌い!」  またしても、僕は激しく動揺した。  僕は、三年生になってから同じクラスになったカズユキに相談した。  彼は、自称は僕の親友だが、今から思えば自慢話を聞かせマウントを取り、己の自信を高めるために、僕を自分の子分のように扱おうとしていたのだろう。それに勘づいた僕は、成人したあとは徐々に彼と交流しなくなったが、そんな僕から、女子生徒に告白されたとあって、彼は非常に驚き、なおかつ不快感を隠そうとしなかった。  その上で、彼が僕に言ったのは、こういったことだった。 「もう、ほっとくしかないんちゃう?」  彼にしたら、マウントを取られるはずの僕が彼より先に恋愛で成功することは我慢ならなかったはずだった。それで、うまく行かせないために消極法を勧めたのかもしれない。  それはともかくとして、例の関わり合い以降は、以前と同様に特に接点のないヨッコに対して意識しすぎてしまい、自分からも話し掛けることが憚られた。
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