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それでヨッコの自慢の恋人となることを夢見て、思い切って僕はサッカー部に飛び込んだのだった。
無謀な挑戦だったが、着実に体力がついて日に焼けてたくましくなりつつはあったと思う。
練習日は週七日。夕方遅くボールが見えなくなるまでグラウンドを走り回っていたが、さすがに運動部上がりの同じ新入部員とは大きく差が開いた。
速く走れない。ぶつかり合いに負けてつぶされる。強い近眼のせいかボールがコントロールできない。腰痛を始めとする筋肉痛で日に日に身体が重くなる。気後れして大きな声が出ない。そして怒鳴られる。そんな毎日だった。
それでも「いつか強い男になって、ヨッコを迎えに行くんだ」そう心に決めていた。
が、残念ながらそのような志も道半ばにして、その1年目の初夏には早くも終わりを迎えた。
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