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鋼牙の屋敷 前編
そして結構な距離を走ったタクシーが
めっちゃ大きな豪邸の前で突然ピタッと停まった直後……
*****
「8300円になります」
「はぃ…わ~りました。払います」
とメチャメチャ不機嫌にタクシー料金を払った恵はイライラしながら車を降りた後すぐに
それはそれは広くて立派な御屋敷の正門に付いているインターホンをガンガン鳴らしながら
「会長?涼宮会長?ヒーロー研究会の星野が逢いにきました~!
…って言うか会長いるんでしょ~?8300円が無駄になるから早く出てきてよー!」
と大きな声で何度も鋼牙を呼び続けて
「あのね?今日私がココに来た理由はさ?
クルクル若頭と犬神様の事で大事な話をする為だから
とにかく腹をくくって今すぐ早く出てきてくれないかなぁ……
あっ!それとこれは大事な事だから今ココで最初に言っておくけどね?
明日になるまで私はプー太郎だから、今すぐ会長のお蕎麦は買えないよ~ん。
でも鋼牙さんは会長繋がりの大切な友達だから…何があっても必ず私が助けてあげるよ!」
もちろん素手でね?と一人でワイワイ騒いでいると、
次の瞬間、いきなり突然、玄関ドアが一気に開いて
そしてそのまま颯爽とコチラに向かって歩いてきた謎の長髪イケメンは、
妖しい笑顔で門を開いて恵の顔をジッと見つめながら
「ようこそお越し下さいました星野様……
先日は当家の者が大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。
私は東涼会本部、副会長の早乙女達也と申します。以後お見知りおきを……」
とメッチャ丁寧な挨拶をしてすぐに
まるで彰みたいな優しい表情でニコニコと微笑んで……
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