悪役令嬢は、ただ、ただ、ただ……!愛され、た、かった

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 また手元に薬があった。  私は何もなかったし何も思わなかったけれど、飲まないといけない衝動に駆られて飲んだ。  私は10歳だった。  また飲んだ。  10歳だった。  また飲んだ。  血を吐いた。  9歳だった。  まだあった。  また飲んだ。  目から赤い涙が流れた。  8歳だった。  まだまだあった。  また飲んだ。  掌の上にあるものをがばりと飲んだ。  5歳だった。  私は、妹が生まれた日に母になったばかりの女を刺して自分の胸も刺した。  絶望して自分の胸に剣を突き立てるお父様を視界の端に見て、漸く私は幸せな気持ちで眠った。  そんな夢を5歳を繰り返しながら見続けている。  私は何も悪くないのに、どうしてこんな目に合わないといけないのかしら。  私は、掌に出現する薬を歯で砕きながら飲み下し、今日もループを繰り返す。私の理想の人生を歩むために。この薬は、尽きないから。  今日は一段と身体が冷えて疲れて眠いから、きっといい人生を見れるでしょう。  おやすみなさい。 fin
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