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1回で充分なのに3回もやり直せるなんて、なんて、ラッキーなのでしょう。私はすぐに全財産をはたいて買ったわ。そして薬を飲んだ。
瞬間、ぎゅっと心臓が握りつぶされるような痛みがした。吐き気がしたかと思えば息がつまる喉。チカチカと光ったかと思えば真っ白になっていく視界。
目覚めた私は、妹が生まれる日に目覚めていた。
私はお湯をかけなかった。
お湯じゃ死ねないから。
私は蝋燭に火をつけた。
それをベスティアが眠るベッドに投げ込んだ。
布団が燃えた。
ベスティアが泣いた。
ベスティアの真っ白なフリルのついた服が燃えた。
火は、ベスティアの頬を軽く焦がして消えた。
変わりに、私の頬に父の掌大の火花が灯った。
お父様は魔法をこめて私の頬を打ったから、また私はフードで顔を隠す人生となってしまった。私は何も悪くないのに、こんな人生あんまりだった。私は魔法薬を手に入れた場所に行った。5歳の私が全てを知っていることに濃い紫色のフードをかぶった男の人は驚いていたけど、すぐに微笑み「何回目だ?」と聞いてきた。まだ一回目だ、と答えたら、今飲んでも問題はないが幼い身体に負荷がかかるために反動がくるだろうと言った。ならベスティアを殺せる薬を、と思ったけれど私の美しい人生を取り返してからでないと意味がない。
「かまわない」
私は二度目の薬を飲んだ。
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