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優子叔母さんは女の人の頭から足のつま先までジロリと見やって。
「健一さんが倒れた日にやってきて、藍がドアを開けた?あなた、どちら様?」
女の人はタジタジになって、
「違います、違います」
言いながら、ショルダーバッグから名刺を取り出し、優子叔母さんに差し出した。
「私はただの常連客です。こちらのお店のファンです。桐ケ谷涼子と申します。ご主人が倒れられたとは知りませんでした」
差し出された名刺に優子叔母さんが目を通す。
『レストランプロデュース
桐ケ谷涼子』
と、書かれていた。名刺から顔をあげた優子叔母さんは、藍ちゃんに「本当なの?」と、目配せした。藍ちゃんはそれに頷いた。
「もう、藍ってば。様子を見に来てよかったわ。陽子から連絡をもらって急いで仕事を終わらせたのよ」
陽子というのは藍ちゃんのお母さんの名前だ。
「勝手にお店を開けて」
藍ちゃんに、「メッ」と、視線を送った優子叔母さんは女の人──桐ケ谷さんに向き直った。
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