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 そのたびに、優子叔母さんの「なんでこんなことに」も浮かぶ。  ほんまに、なんでこうなったんやろ。お父さんがおったらな……いっつもみたいに、お父さんがお店を開いていたら、こんなことにはならへんかった。  そんなことを考えていたら、学校から八朔おじさんに連れられ病院にいったこと。手術を終えたお父さんが病室に運ばれてきた情景が頭に浮かんできて、眠気はなかなかきてくれなかった。  なのに朝は遠慮なくすぐにやってきて、藍ちゃんは眠たいまま学校に登校し、授業を受けた。いや、授業を受けているつもりだった。 「小豆沢さん。小豆沢藍さん、起きてください。授業中ですよ」  担任の三浦智樹(みうらともき)先生の声にドキリとして飛び起きた。  クラスのみんながドッと笑った。 「なにが『余熱でするんです』だよ」  斜め後ろのクラスのリーダー格、佐伯碧(さえきあおい)が椅子の背もたれに体重をかけたまま言い放つ。またも、みんなが大笑いした。  それで、授業中に寝ていただけでなく、寝言まで言ったことが分かった。カーっと体中の体温が上がった。
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