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 全然知らない女の人が立っていたのだ。  ふんわりとした白いシャツに深緑のフレアスカートの出で立ち。 「あの、今日、お店は──」  お母さんより若そうなその女の人も、出てきたのが小学生なので驚いた様子だ。  この人、誰?  でも、お店のことを聞いてくるのだから、お客さんかも。そう考えた藍ちゃんは背筋を伸ばして、 「今日はすみません、お休みです」  と、説明した。 「お休み、ですか」  女の人はガックリと肩をおとし、 「電気が付いているから、やっているかもって」  ノックをした理由を告げた。  女の人があんまりしょんぼりしているから、つい藍ちゃんは言った。 「あの、お味噌汁と豚の生姜焼きやったら……あります……けど」  藍ちゃんの言葉が終わらないうちに、女の人の瞳がキラキラしだして力を得ていく感じになった。 「あ、あの、お父さんじゃなくて、わたしが作ったご飯で──」  慌ててお店の料理ではない、と告げた。が、後の祭り。女の人はづかづかと店内に入り、カウンター席に近付き、置いていた晩ご飯を見つけた。 「これ、あなたが作ったの?」 「え、はい」 「すごい!私、これ食べたい」  女の人の言葉に身動きが取れなくなる藍ちゃん。 「あなた、さっき、お味噌汁と生姜焼きがあるって言ったでしょ?もしかして、この食べかけの分しかないの?」
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