〈おくすり〉なんて大キライ

1/1
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 病院には行きたくない。  だって絶対にいいことがないんだ。  最後には絶対、こう言われるから。 「それでは、〈おくすり〉を出しますね」  この世で大っキライなもの。  それは〈おくすり〉。  ママが心配して病院に連れてきてくれているのは、わかってる。  鼻水だって、つらい。  咳だって、治るんだったら、早くおさまってほしい。  だけど、その治す〈おくすり〉が、なにより大キライ。  なんとかのませようと  無理矢理おさえつけられたこともある。  こわいし、つらい。  だからいっぱい抵抗して、ないて、にげちゃう。  普段なら美味しいはずのおやつに、こっそり混ぜられたこともある。  そんなことでごまかされるもんか。  だけど〈おくすり〉をのまないと、ママが悲しそうな顔をする。  その顔を見たら、ボクも悲しくなるんだ。  〈おくすり〉は大っきらいでつらいけど。  がんばったら、ママが笑ってくれるから。  大っキライだけど、がんばるよ。  だから〈おくすり〉を上手にのめたら。  いっぱいほめて、笑ってね。  そしてごほうびに、おいしいおやつをちょうだいね。  そしてママの、やわらかいひざの上で眠るんだ。  でもやっぱり大っキライだから。  素直に飲めないのは、ゆるしてね。 1a5d383b-495a-4fbf-bc19-ea2ca88c7df0  
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!