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病院には行きたくない。
だって絶対にいいことがないんだ。
最後には絶対、こう言われるから。
「それでは、〈おくすり〉を出しますね」
この世で大っキライなもの。
それは〈おくすり〉。
ママが心配して病院に連れてきてくれているのは、わかってる。
鼻水だって、つらい。
咳だって、治るんだったら、早くおさまってほしい。
だけど、その治す〈おくすり〉が、なにより大キライ。
なんとかのませようと
無理矢理おさえつけられたこともある。
こわいし、つらい。
だからいっぱい抵抗して、ないて、にげちゃう。
普段なら美味しいはずのおやつに、こっそり混ぜられたこともある。
そんなことでごまかされるもんか。
だけど〈おくすり〉をのまないと、ママが悲しそうな顔をする。
その顔を見たら、ボクも悲しくなるんだ。
〈おくすり〉は大っきらいでつらいけど。
がんばったら、ママが笑ってくれるから。
大っキライだけど、がんばるよ。
だから〈おくすり〉を上手にのめたら。
いっぱいほめて、笑ってね。
そしてごほうびに、おいしいおやつをちょうだいね。
そしてママの、やわらかいひざの上で眠るんだ。
でもやっぱり大っキライだから。
素直に飲めないのは、ゆるしてね。
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