このうちのもの

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このうちのもの

  翌朝、そらは眠たげな目をこすりながら登校していた。 「おうい!そら!」 うしろから声をかけてきたのはだいちだった。小走りでこちらに走ってくる。話したいことがたくさんあるそらは、歩みを止めて、だいちを待った 「おはよー。だいち、きのうは…」 そう言っている間に、疲れた顔をしているそらに対して、だいちは、 「どうしたの、顔が、まじでやつれてるぜ。」 「昨日、会ったんだ。」 「は、なにに。」 「人ならざる者ってやつに。」 全てを察しただいちは、全身の毛が逆立つように、 「うそだろ!」 「本当さ。本当だよ。たぶん、高校生くらいで、男だった。」 「そういえば闇に乗じて…とか書いてあったもんな…。おれあんま信じてなかったよ…。それで、いったいどこに居たんだ。まさかおまえの枕元に現れたなんて言うなよ。」 「この通りの家の前さ。オレたちが転びそうになった場所。」 「昨日また行ったのかよ。一人で行くなよな、危なすぎるんだから。」 すると、うしろから 「おはよー!」 こころとかおりの姿があった。 「おはよう!なぁ、聞いてくれよ。そらが、昨日…なぁ?」 こころとかおりは、どこか不思議そうに、どこか察しがついたような顔になっていた。そらは昨日あったことをみんなに話した。そして、 「この通りのあの家の前で、会ったんだ。今日も、何かあるかもしれない。あの家の、庭の柵があるだろ?そこに座ってたんだ。そして一通り話したら庭の方に入って行って消えてしまった。」 やがてその家が近づいてくると、その家は一見小さな土地に見えるが奥行きは長く、階数も三階と屋根裏がありそうな設計に見える。作りは洋館で、壁は色褪せていて暗っぽい雰囲気にも見えた。 「ここが、そいつの家。」 「気を付けてね、いつまた現れるかわからないわ。」 そんなことを話していると、その家の玄関の扉が開いた。 四人は一瞬も動かないで、体をこわばらせてその光景を見ていた。そして、扉はついに開ききって、その扉を押し開けた正体が四人の目にはっきりと映った。 「おはよう!みんな!」 その扉から出てきたのは、担任の戸部はるかだったのである。
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