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 麻衣ちゃんはとっても可愛いんだ。背が高くて、色白で目はクッキリ二重だし鼻もすっとしている。クルクルした髪の毛に洋風の顔立ちなので、西洋人形みたいだ。  でもわたしが「麻衣ちゃん、かわいいー」ってほめると、「そんなことないよー」と首を振り、「色葉ちゃんの方がかわいいよ」と言ってくれる。  麻衣ちゃんは、思ったことをきちんと言う子。勉強もできる。だから麻衣ちゃんにほめられると、おせじに聞こえなくて、わたしはいつもくすぐったくなっちゃうんだ。 「ええと、同じクラスなのは他にはーっと」  わたしは首を伸ばして、ようやくじっくりクラスのメンバーを見回した。 「あっ」  思いのほか大きな声が出てしまって、あわてて両手で口をふさいだ。誰もわたしの方を見ていないことを目で確認すると、麻衣ちゃんにささやいた。 「ねえねえ、麻衣ちゃん、坂間(さかま)武良(むら)くんと一緒のクラスだね!」 「うん」  麻衣ちゃんは、照れた顔でうなずいた。麻衣ちゃんが武良くんを好きなことは、わたしと麻衣ちゃんのふたりだけの秘密。わたしたちは目を合わせてクスクス笑いあった。
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