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「わあああああ!」  水瀬色葉六年生、新学期の初日の朝だというのに寝坊しちゃった~! 「あはは」  わたしの叫び声が聞こえたらしく、一階のキッチンからお(にい)の笑い声が聞こえてきた。  いやいや、笑っている場合じゃないよぉ。  高橋先生が5年生の終業式に言っていたセリフが頭をよぎる。 「4月には最高学年の6年生です。気を引き締めていくように。特に水瀬(みなせ)色葉(いろは)さん、遅刻なんか、ぜったいにしないでくださいよー」  うーっ! 高橋先生め〜。白髪まじりの髪をゆらして、まるでわたしの今の状況を見ていたみたい。予言ですかっ! 「どどどどどどどーしよう?!」  わたしは髪をかきむしった。 「あたたっ!」  もつれた髪が指に絡みついて、2,3本抜けてしまった。ふんだりけったりって、たぶんこういうことを言うんだよね。
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