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手をブンブンとふるって、ゴミ箱に抜けた髪を捨てる。肩よりも少し長い、こげ茶色のやわらかい猫っ毛は、ひそかにわたしのチャームポイントだと思っているけど、今はこんがらがってわずらわしい。
ああ、こうしている間にも時間はどんどん過ぎていく。
まくら元に置いてある、白色の目覚まし時計の針は、すでに7時40分を指している。いつもなら、ちょうど家を出ている時間だ。
部屋のシャッターは開いていて明るい。時計もバッチリ見えた。
ということは、ママはちゃんと朝、起こしに来てくれたみたいだ。でも耳をすませても、いつもなら聞こえるママの声も、動き回っている気配もない。きっともう出かけてしまったんだ。
あっ、そういえば、昨日の夜、「明日は出張で早く出かけちゃうから、いつもみたいに何回も起こせないわよ」って言われていたんだっけ。今、思い出しても遅いけど。
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